失敗しない水槽用クーラーの選び方!見るべきポイントと注意点

 そろそろ暑い季節になってきましたね。暑さに弱い私はそんな時、扇風機やクーラーで暑さを凌ぎます。水槽の中にいるコリドラス達も高水温はあまり得意ではありません。当然コリちゃん達もクーラーを求めています(笑)

 そんなコリちゃん達のために、水温を下げる方法や水槽用クーラーの選び方、おすすめのクーラーを紹介していきます。


水温を下げる方法

 以前の記事でスーパーシュワルツィの飼育水温を24℃にすると宣言した私は、水槽用クーラーの力を借りて水温をキープしています。水温を下げる方法としては他にも以下のような方法があります。

    1. 冷たい水で水替えする
    2. 氷や凍らせて再利用可能な保冷剤的なものを浮かべる
    3. 扇風機などの風を水面にあてて気化熱を利用して水温を下げる
    4. ペルチェ素子を使った水槽用クーラーを使う
    5. コンプレッサーを利用した水槽用クーラーを使う(←今回はこれ)
    6. 部屋のクーラーをつける
    7. 涼しい地域に引っ越す

 いろいろな方法がありますが、ある程度の水量を安定して冷やす場合の選択肢は5以降になります。


1~2. 冷たい水で水替え、氷投入

 この方法は一時的に水温を下げるだけで、しばらくすると水温は元に戻ってしまいます。手間がかかりすぎるうえに効果は最低です。


3. 扇風機(冷却ファン)

 水面に風をあてて気化熱を利用して水温を下げますが、部屋の温度マイナス3℃いけば良い方でしょうか。水が気化しやすいかどうかは湿度の影響をうけるので、日本の夏のように湿度が高いと効果半減です。

 私が昔使っていた時は1~2℃位下がれば良いほうかなぁ~という感じでした。ちなみに原理上、水が結構蒸発するので水面の低下には注意してください。


 この方法は扇風機単体ではなく、部屋のエアコンと併用できればそれなりに効果はあると思います。部屋のエアコンがついていれば部屋の温度が下がるだけでなく湿度もある程度低くなるので、気化熱で水温を下げるこの方法との相性は良いかと思います。


↓こんな感じ


4. ペルチェ素子のクーラー

 電流を流すと片面が冷たくなり、もう片面が熱くなるという特殊な素子を利用したものです。なんだか画期的で凄そうなアイテムですよね。

 冷やすことも温めることもこれ1台で出来るんです!おまけに(おまけ?)コンプレッサー式のものよりもコンパクトで価格も少し安いという、なんともオタク心をくすぐる商品です!

 ただ、この種類のクーラーには欠点もあります。あんまり冷えません(笑)実は私も若かりし頃、、、


「ペチェ素子ってなんかすげぇ!」

「クーラーなのにこの価格!?」

「60cm水槽にも対応してるじゃん!」


と、くすぐられにくすぐられて買いました。「念願のクーラーゲットだぜ!」と意気揚々と設置し、そして世の中には嘘……信じた事が真実とは限らないことを学びました(笑)


 あれから20年近く経ってますし、いろいろ技術も進歩しているとは思いますが、冷却力の面で60cm以上の水槽にはオススメしません。基本的に「室温-数℃」が限界ですが、そもそも部屋が暑いと全然冷やせなくなるので厳しいです。


↓こういうやつです。


5. チラー方式クーラー

 価格も高いが効果も高い、確実に水温を下げたければ冷蔵庫等と同じように冷媒とコンプレッサーを使ったこの種類のクーラーになります。何に気をつけて選べば良いかは下の方で書いているので、もう少し読み進めてくださいm(_ _)m


↓ご参考


6. 部屋ごとクーラー

 部屋に備え付けてあるクーラーで部屋ごと冷やしてしまう、なんとも贅沢?な方法です。複数の水槽を管理している場合は個別にクーラーを用意するよりもコスト面でメリットがあります。熱帯魚屋さんでもほとんどの水槽にはクーラーをつけていませんよね。

 もちろん一つ一つの水槽の温度を細かく制御出来るわけではないので、場合によっては個別にクーラーを用意する必要があります。


7. 涼しい地域に引っ越す

 ふぁいと♪


チラー方式クーラーの選び方

 この種類のクーラーを選ぶにあたり、基準というか気を付けておきたいことがいくつかあります。


対応水量

 まずは冷やすことの出来る水量についてです。クーラーの仕様説明に「室内の温度が〇℃の場合に水温を〇℃にできる水量は〇㍑まで」というような事が書いてあります。

 しかし、この水量というのは単純に水の量というわけではなく、照明や濾過フィルター等の熱量(損失熱量)も加味して算出したもので比較する必要があります。熱量は消費電力1W≒1㍑として換算します。

 ここでは60cm水槽を例にしてざっくり計算してみます。


60cm水槽:約54㍑

照明:24W → 24㍑

外部フィルター:8W + 濾過層2㍑ = 10㍑

その他(エアーポンプとか):5W → 5㍑

ーーーーーーーーーー

合計:93㍑


 上記の例だと大体100㍑の水量に対応するクーラーを選ぶことになります。もちろんクーラーの仕様説明に参考として書いてある温度よりも低く設定したい場合は、より多い水量に対応しているクーラーを選ぶ必要があります。

 また、例では照明は24Wとしましたが、メタハラを利用する場合は100W以上になり一気に換算水量が増えるので注意が必要です。逆に最近流行りのLEDなんかだと、理論上は熱が水面に向けて発せられないので、あまり気にしなくても良いのかもしれませんね。


設定可能温度

 通常はあまり困ることはないと思いますが、設定できる水温の範囲(4℃~40℃や18℃~30℃など)は製品によって違うので、念のため確認しておきましょう。また、設定出来る水温の単位が1℃だったり0.1℃だったりするので、細かく設定したい人はご注意を。

 1℃単位でしか設定できないとちょっと困りそうですが、水温補正が出来るようになっている製品の場合は、設定水温は25℃だとしても実際は25.4℃位になるように調整することは可能です。

 ただ、水温のコントロール自体が「設定水温+1℃になったら設定水温まで冷やす」というような動きになるので、0.1℃単位で設定しても±1℃は変化すると考えておいたほうが良いと思います。


ポンプ

 クーラーには冷却機能しかないので、水を循環させるためのポンプ等が別に必要です。クーラーの機種ごとに推奨される循環水量の範囲が決まっているので、接続可能なホース径と合わせて忘れずに確認してください。

 また、砂利や水草等がクーラー内に入らないように物理的な濾過フィルター(吸水口のスポンジフィルター等)をつけておくと安心です。外部フィルターを利用している場合は、フィルターの排水側と繋いで使用すれば導入も簡単ですね。


設置場所

 クーラーはそれなりに大きいので、購入の前に配管の取り回しを考慮しつつ、設置場所を考えておくと良いと思います。

 外部フィルター等は水槽台の中に収めていることもあるかと思いますが、クーラーは吸排気のことも考える必要があるため、出来れば扉付きの水槽台の中のような空気の流れが悪いところへの設置は避けるべきです。水槽台の脇に置くなどして吸排気の効率を落とさないように設置するのが好ましいです。

 もちろん部屋の換気を行って、部屋自体の温度が高くなりすぎないようにすることも大切です。

 

 吸排気は大事なのですが、このタイプのクーラーはどうしてもコンプレッサーやファンの音がするので、気になる人は吸排気を考慮しつつ騒音対策を検討してください。同じ機種でもうるさいという人もいれば平気という人もいるのでこればっかりはなんとも言えませんね。


 クーラーの出力にもよるとは思いますが、私は思ったより静かだなぁと思っていて、生活するうえでは特にストレスは感じていません。でも、寝室にあったらさすがにちょっと気になる音ではあると思います。


水温センサー

 あまり話題になることがないようですが、機種によってセンサーを水槽内に設置するもの、クーラーに内蔵されているものの二つに分かれています。機種選択のうえでの優先度というか重要度的にはそれほど高くはないと思いますが、どちらが良いかとなればこれは断然内蔵型のほうが良いです。


センサー外部式(水槽内設置)

「メリット」

    • 温度を測る場所を好きに決められる

「デメリット」

    • コケ等でセンサーが汚れる(汚れ具合や清掃の頻度にもよるが、センサーコードの劣化も心配)
    • 餌やり等の理由でポンプを止めると当然冷却された水がセンサー部に循環しないため、クーラーは動き続けたままとなる
    • メンテナンス等なんらかの理由でセンサー部を水槽内に設置し忘れると、水温の低下を感知できないため、どんどん水温が下がり続けてしまう
    • 取り回しが若干面倒

センサー内蔵型

「メリット」

    • センサーが汚れない(分からないだけ?少なくともめんどくさいコケの清掃は不要)
    • 餌やり等でポンプを止めてもクーラーだけ動き続けることがない(クーラー内の水が冷やされたことをセンサーが感知するのですぐ止まる)
    • センサーの取り回しを気にしないで良い、水槽内すっきり♪

「デメリット」

    • 水温を測る場所を決められない


 なぜこの話題をこんなに書いているかというと、センサー外部式のデメリット、すべて経験しています(笑)

 センサーコードの汚れや劣化による破損、餌の散らばりを抑えるために一時的にポンプを止めているのにクーラーはがんばり続けてしまう精神的金銭的ストレス、メンテナンスした後にセンサーを水槽内に入れ忘れ、買い物から帰ってくると水温6℃……(泣) ← エビがメインだったこともあり、幸いみんな無事でした。


 個人的な想いがかなりありますが、適切に水が循環している環境であれば水温を測る場所はどこでも問題ないはずなので、センサー内蔵型がおすすめです。


ヒーターコントロール機能

 ほとんどの機種にヒーターをつなげるコンセントがついていて、ヒーターをつなげることで冬場の温度管理もしてくれます。まさに水温のとーたるまねーじめんとなんですが、このコンセント、非常に使いづらいです。なんたって筐体の側面とかについているので、、、

 ヒーターのコードは通常そんなに長くないので、水槽の中から水槽台の横あたりにおいてあるクーラーまではとても届きません。別に延長コードを用意しないと使えないと思います。


 ヒーターとサーモスタットのセットで使っている場合は、サーモの温度センサーを水槽内に設置していると思いますが、クーラーのヒーターコンセントを使えばそのセンサーを水槽内に設置する必要がなくなります。ただ、クーラーの温度コントロールはヒーターのサーモほど細かくない場合がある(例:設定温度より1℃下がったらON、設定温度になったらOFF)ので注意が必要です。

 これはクーラー側のコンプレッサーのON/OFFが頻繁に起こらないようにするための工夫だと思います。まぁ、ヒーター側のコントロールを同じにする必要はないのですが……


 クーラーは高価なものですし、メーカーとしても「水温管理はこれ1台」的な見せ方をして少しでも良く見せたいのでしょうか。どこかがやり始めると機能的に劣るように見えてしまうのを避けるために他もやらざるをえないのかもしれませんね。ちなみに私は使っていません。


価格

 とうとう最終ステージ、なかなか良い攻略法が見つからないラスボスの価格です(笑)今まで出てきた中ボスたちの攻略法も、このラスボスの前では無力です。すべてをひっくり返すほどの力があります。(なかにはそのあと、裏ボスとの決戦を控えている方もいるかと思います。)

 そんなわけでラスボスの攻略法はありませんが、対応水量や水温センサーが内蔵か等の情報と合わせておすすめの機種を紹介させていただきます。


おすすめクーラー

 上で述べた基準ごとにおすすめの機種を紹介したいと思います。迷ったらゼンスイというメーカーのものを選んでおけば失敗しづらいと思いますが、それなりに高価なのでいろいろ比較して納得のいくものを選んでください。

 私はゼンスイとGEXのクーラーを使用していますが、どちらも問題なく使えています。ゼンスイはセンサー内蔵型で音も若干静かですが、ちょっと高いです。


対応水量:~100㍑

GEX クールウェイ BK110

 比較的安価ですが、水温設定は1℃単位、水温補正機能も付いていますがこちらも1℃単位なので、細かい水温調整は出来ません。水温センサーは内蔵型ではありませんが、センサー部のキスゴムを含めあまり汚れません。

 もちろんしっかり冷えるのでクーラーとしての性能は問題ありません。特売の時は結構安く買えます。そしてちょっとカッコイイです(笑)

 (追記)クールウェイシリーズは結構な頻度で特売をやっているようなので、気になる方は覗いてみてください。

(2018/8/11追記)

 あと、クーラーはフィルターの清掃を定期的に行う必要がありますが、この機種はその点も考慮されていてフィルターの取り外しがとても簡単です。

 他の機種では前面のパネル全体を外して中のフィルターを取り出すものがありますが、その際にネジやはめ込み部分にツメを使用していたりして、ザ・メンテナンスといった作業になります。またフィルターがとても取り外しづらい場合もあり、結構手間に感じます。

 しかしこのクールウェイ、出来が違います(笑)

 外すパネルはフィルター部分の範囲だけで、しかも磁石で付いているので片手でササっと取れます。中のフィルターもパネルと本体の間に挟んであるだけなので何の抵抗もなくスッと取れます。ストレスフリーな点はかなりメリットだと感じています。

 こういった購入後に必要になる日々の作業(毎日じゃないですけどね)にかかる負荷も無視できません。やはり長く使っているとメンテナンスがめんどくさいと思うこともありますし、取り付け部分がネジやツメだと部品が劣化してうまくつかなくなってしまったりすることもありました。なかなか使ってみないとわからないことではありますが、少しでもヒントになればと思います。


ゼンスイ  ZC-100 アルファ

 ゼンスイのZCシリーズです。ゼンスイは他にもZRシリーズを出していますが、こちらのほうが多くの機能が搭載されていて、設定もZRより細かく指定できます。水温センサーは内蔵型です。唯一の欠点はデザインがちょっと業務チック、、、


対応水量:~200㍑

GEX クールウェイ BK210

 GEXクールウェイシリーズの200㍑対応機種です。特徴はBK110と同じなので省略します。

 ちなみに私が使っているうちの1台はこの機種です。(実は使っていた機種がリコール対象だったので、この機種に無償交換していただきました!この新機種の水温センサーは全然汚れないですね。製品によっては白くなってしまうキスゴム部分も今のところ全く問題ないです。)

ゼンスイ ZR-mini

 これが出たときは思わずスタイリッシュ!と言ってしまいそうで、当時のクーラーデザインとしては革命と思えるほどでした。そしてちょっとだけコンパクト♪インテリアとして選ぶならこれで決まりです!

 でもこれ、、、お高いんです(笑)この機種よりも対応水量が上のクラスのZR-75E(あとで出てきます)とほとんど変わらない価格です。仕様を見るとコンプレッサーの出力がZR-75Eと同じなので、ベースとしてはもっと上のクラスのものを使っているのかもしれません。ちなみにセンサーは内蔵型です。

(2020/7/28追記)

 縁あって、ZR-miniのブラックバージョンを手に入れてしまいました。しばらく使ってみましたが、60cm水槽であれば問題なく冷えますね。見た目もグッドです♪

 でも、誠に残念なお知らせがあります。。。

 この手のクーラーには当然ファンが内蔵されていますが、ZR-miniのコンパクトさゆえかコストとの兼ね合いなのか、専用ファンではなく大きなPCケースファンみたいなものでした。なぜこれが残念かというと、わりとそれなりにまぁまぁ五月蠅かったです!

 あと、ついでにこっそりお伝えしますが、全面のフィルターが取り外しにくいです(笑)

 ゼンスイさんなので製品の信頼度は高いですが、いろいろ犠牲にしたうえに作られた製品だということがわかりました。残念なお知らせはありましたが、リビングに置くにはこのコンパクトさとデザインが決め手になっているので、これからも使い続けていきます!


ゼンスイ  ZC-200 アルファ

 ゼンスイのZCシリーズの200㍑対応機種です。このクラスとしてはちょっとコスパが悪いですね。200㍑対応とはいえ、周囲の温度が30℃の場合を基準にしたものです。これを「GEX クールウェイ BK210」に当てはめると350㍑に対応していることになります。

 ZCシリーズの機能によほどこだわりがあるなら別ですが、これを選択するなら対応水量も多く価格も安いZR-75Eのほうが良いと思います。


対応水量:~300㍑

ゼンスイ ZR-75E

 価格と冷却性能の二軸で考えると、ゼンスイの機種でZC-100αで対応できない水量の場合は、この機種が候補になるかと思います。

 60cm水槽でもメタハラを使用している場合や90cm水槽の場合はこのクラスが安心です。水温は1℃単位の設定ですが、水温補正は0.1℃単位で可能なので困らないと思います。

 私はこの機種のリニューアル前のものを今でも使い続けています。まだまだ現役です。


最後に

 クーラーは安い買い物ではありませんし、長く使っていくものなので納得して購入してほしいと思います。場合によっては室内クーラーで対応したり、室内クーラーと併用することも検討すると良いかと思います。


 書き始めたらとても長くなってしまいました(^^;もう一度見直して整理したほうがよさそうですね。


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